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VOL07 吾妻山麓醸造所

Vol7

福島県福島市
吾妻山麓醸造所

福島市初のワイナリー Winery Azuma Sanroku
震災を経験し、福島への地域の想いをワインという未来へ託す挑戦

Locone STORY

Intervier

01

福島県が誇る果物の一大生産地「フルーツライン」界隈。福島盆地や阿武隈山系を一望する高台に、令和2年、ワイナリー「吾妻山麓醸造所」がオープン。今回、代表の横山さんにお話を伺いました。
横山さんは原発が立地する大熊町と双葉町の2つの病院を統合する事業の責任者だったが準備中に東日本大震災を経験。
壮絶な体験は横山さんに大きな決断をさせました。定年退職を機に、「農業で人々の心を癒し、ワインを囲みながら、リフレッシュできる場を創りたい。」「福島に賑わいを戻したい。」という想いを胸に、各地のワイナリーを巡りワイン用ブドウ栽培やワイン醸造について学び、ワイン事業をスタートさせました。

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02

横山さんはとある縁で牧野さんという心強いパートナーと出逢います。アメリカのカリフォリニア大学で醸造用葡萄の栽培と醸造を学び、帰国後、山梨の大手ワイナリーで経験を積んでいた醸造家の牧野修二さんです。二人は「その土地ならでは」のワインづくりに想いを馳せ、福島の個性を生かした味わいを目指しています。 早春の吾妻山に現れる雪形は「雪うさぎ」と呼ばれ、地域の人々に親しまれているのですが、『Winery Azuma Sanroku』のロゴやワインエチケット(ラベル)に、”うさぎ”を模したデザインを用いていることも、地域愛を表現しています。地域事業者とのコラボレーションにも挑戦し、福島の魅力を最大限に生かし、地域と共に歩んでいます。

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03

寒暖差の激しい福島市の気候は果樹栽培にとって何よりの適地。2020年、メルロー、ソーヴィニヨン・ブランなどの品種を中心に計6,000本植樹。葡萄は実をつけるまで3〜4年を要するため、現在は山形県や長野産の葡萄で醸造しているが今年から本格的に福島産のワインが生まれる。 この畑は高湯温泉、信夫温泉、微温湯(ぬるゆ)温泉といった葡萄畑を囲むように位置する温泉地の土壌にあり、風向きによっては畑で少し硫黄のような香りがするときがあるとか。そんな土地のキャラクターも味わいに表現できたら面白いと思う」と醸造長の牧野さんは話します 筆者も、女性が選ぶワインコンクール(さくらアワード2023)でシルバーを受賞したワイン(DELAWARE)を頂きましたが、繊細にしてフレッシュで、酸味と甘味のバランスがすばらしく、品質の高さを感じました。

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04

ワイナリーでは、ワイン愛好家もそうでない人も楽しめるさまざまな企画やイベントを開催。地域の生産者や飲食店を巻き込んだマルシェや生ハムワークショップ、ワインを基礎から学べるワイン講座「AZUMA36Academy(吾妻山麓アカデミー)」も行っています。この春には、素晴らしい眺望とワインを楽しめるショップ「セラードア」も完成。 二人の福島という地域に対する想いは強く、「世界中に福島のワインの存在を伝えて、一人でも多くの人に福島のワインを飲んでもらいたい。」と口を揃えます。「個性が光る福島らしいワイン」への道のりは長く、一歩目を踏み出したばかりでしょう。しかし、その夢を語るお二人の瞳はキラキラと輝いていました。

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05

ワインだけではなくりんごや洋梨を使ったお酒も創る吾妻山麓醸造所。福島産のりんごを100%使用しシードルに加工したり、栽培、醸造、地域連携などワイナリーでの活動は多岐にわたります。 横山さんの強い想いからスタートしたワイン事業は、確実な歩みとなって進んでいます。 20年後には、世界で「福島産ワイン」が飲まれているかもしれないと想うと、どんな味に育つのか将来が楽しみです。